Frat boys フラタニティボーイズ

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“There are certain areas that I have started to avoid.  I can deal with crackheads, but some of these frat boys that come into town… They behave so badly.”
「(この界隈でも)一定のエリアは避けるようになりました。ヤク中なら適当にあしらえるけど、最近増えて来たfrat boysの中にはね…。本当に素行が悪い人たちがいるんですよ」

先週日曜のシアトルタイムスの記事。キャピトルヒル(ダウンタウンからちょっと丘を上ったところに位置する、ナイトクラブが多いパーティータウン。ゲイの町でもあり、昔からヒッピー的なカルチャーを持つ個性的なエリア)が最近、ジェントリフィケーションによって変わって来た、という記事で、この言葉は、先頃、このエリアで(「frat boys」らしい)ホモフォビアの下衆な2人連れの酔っぱらいに絡まれて暴行を受けたというトランスジェンダーの人のコメント。

で、ここで出てくる「frat boys 」とは何者であるか?
ウェブ版のオックスフォード・ディクショナリーにもエントリーがありました。

A young man who behaves in a boisterous or foolish manner considered typical of members of some college fraternities.
(馬鹿騒ぎや頭の悪い言動をする若い男性。典型的には、大学のフラタニティに属している者 )

『アーバン・ディクショナリー』にはもっと突っ込んだ表現があります。悪意に満ちた描写もいろいろあったけど、面白かったのはこの説明。
Usually large husky male human between the ages of 18 and believe it or not 30 who attends a college for reasons other than education but primaraly to keep his blood alcohol content high enough that a normal person could get drunk of his breath.
(通常、体格の良い人間の男で、18歳から、信じがたいかもしれないが30歳くらいまでの年齢に分布。教育を受ける目的ではなく、主に血中アルコール濃度を高めるためにだけ大学に通う。あまりにアルコール濃度が高いため、普通の人間は彼らの吐く息だけで酔っ払ってしまうほどである)。

Fraternities(フラタニティ)は、「友愛会」とか社交クラブとかの訳語がありますけど、アメリカの大学の風俗や制度の中でもガイジンにとっては一番よくわからないものの一つ。
その昔、故ジョン・ベルーシの『アニマル・ハウス』を見て、なんだか良くわからないけど楽しそうな団体だなあ、と思ったものだけど、実際はどうなのか。

ワシントン大学にもフラタニティやその女子版の「ソロリティ」がたくさんあって、大学正門の前から真っすぐ続いている17thストリートは、正門前から両側にフラタニティの「ハウス」がずらっと並んでいるので、「グリーク・ロウ」と呼ばれている。(フラタニティにはそれぞれギリシャ文字の名前がついているので、フラタニティに入っている人や同窓生同士はお互いを「Greek」と呼び合ったりしてるようです)。

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これはワシントン大正門前の、一番目立つフラタニティのハウス。

フラタニティに入ってる子たちは、こういうハウスで寝起きをともにして、四六時中一緒に行動していて、とても結束が固い。

ワシントン大学に通っているうちの息子は、以前、「フラタニティ・ボーイズ」はひと目で分かるアホウばっかりだ、と鼻の穴を広げていました。
なぜその人がフラタニティの人だと分かるのかと聞くと、だいたい着てるものと態度で分かるんだといいます。じゃあどういう服なのかと聞いても、白いシャツとかジーンズとか、あまり特徴がないのだけど、まあ大体「アバクロンビー&フィンチ」的な格好なのらしい。微妙な着こなしと漂わせている空気が均一的だってことなんでしょう。

そして、フラットボーイズは、息子に言わせると、「douchebagでarrogantでentitled」であるという。自分たちは特別だと思ってて、ほかの人への理解や想像力をまったく欠いていて、遊ぶことしか頭にない。というんですね。これはたぶん偏見も混じっているかと思いますが、ステレオタイプとしてはそういう学生たちであるらしい。

先週、オクラホマ大のフラタニティボーイズがバスの中で「うちのフラタニティにはニガーは絶対入れねんだぜ!奴らは木から吊るしてやるんだぜ!」といったような、おそらくそのフラタニティに伝わっていたんであろう、最低最悪の低能な人種差別に満ちたチャントをがなりたてているビデオがネットに出回って大炎上し、リーダー格の2人が退学処分になるという事件がありました。

これは全国ニュースになったけど、今週うちのワシントン大学でも、フラタニティの子が黒人の子に人種差別発言をして問題になってました。上の写真のライオンがいるハウスのSigma Alpha Epsilonで、オクラホマで問題を起こしたのと同じフラタニティです。

ほかの大学でもフラタニティの子たちがデートレイプやヘイジングで問題を起こしたり、なにかと最近話題になっています。

「フラットボーイズ」の大半はWASPの良い家庭の出身で、高校も私立校出身だったり、恵まれた境遇で育って来た子がほとんど。小さいときからSUVで私立校やサッカーやラクロスのクラブに送り迎えされて何不自由なく育って来て、自分たちがどれほど恵まれているかに気づいていない、という子たちが多く、親元を離れても群れて生活しているもんだから、高校生のメンテリティが抜けきっていない子が多いのじゃないかと思います。

一人ひとりは別に悪い子じゃないんだろうけど、同じような境遇で同じような志向の子と毎日つるんでいるうちに、18や19のワカモノだけに、俺様たちって特別だ感が染み付いてしまうのは容易に想像できる。
州立大はいろんな学生がいて、留学生も低所得の家庭の子もマイノリティーの子も多い。そういう違う世界から来た学生たちを理解しようともしたいとも、する必要があるとも思わず、口に出さないまでもグループ単位で優越意識を育ててしまうのは、むしろ当然なのだろうと思う。

フラタニティは、19世紀や20世紀初頭の、大学がまだ小さな選ばれた人のためのコミュニティだった時代にはうまく機能していたのだろうけれど、21世紀、あらゆる階層や文化の学生が集まるようになった大きな大学では、単にお金持ちの坊っちゃんたちが内向きになるのを助長するパーティークラブになってしまっていることも多いようです。

 

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