Deductible 自己負担金

2014-1208-1

ご存知のように、アメリカでは通称「オバマケア」、Affordable Care Act が紆余曲折の末実施にこぎつけ、国民全員に健康保険加入が義務づけられるようになりました。

15年以上前、はじめてアメリカで生活を始めたときに驚愕したことのひとつが、アメリカには国民健康保険制度というものがないということでした。
すごく低所得の家庭には国や州から無料の医療が提供されるし、会社や官庁に所属していればそこの保険に加入できる(たいていは全額または一部、会社が支払ってくれる。最近は全額負担してくれる会社は激減して、加入者負担が増えてるみたいですが)けど、身分の不安定なパート従業員とかフリーランス自営業なんかには健康保険加入への道がとっても狭かった。

ので、わたくしも会社をやめてシアトルに来てからは4年間無保険でした。息子は幸い元夫の保険でカバーされていたので助かった。無駄に風邪など引かないように頑張りました。

オバマケアが始動したのは今年からなので、わたしも去年の暮れに登録して、今年1月から健康保険に加入してます。

しかし、保険料、高い。

ワシントン州ではプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、と保険の種類が分かれててて、それぞれ、Copay(自己負担額)の割合とDeductibleととで月々の支払い額が違います。

わたしが加入しているのはDeductibleが2500ドルという「シルバー」プラン。

このDeductibleという考え方が、日本で育ったわたくしには、どうしても健康保険となじまない気がして仕方ない。
クルマの保険で日本でもおなじみの「免責」額なんですけど、やはり「免責額」という以外に訳語はないようです。

免責2500ドルの健康保険というのはどういうことかというと、年間の支払い合計が2500ドルになるまでの医療費は、すべて自腹で出す。ということ。
2500ドルを超えたところで、初めて保険会社がお金を出すようになる。
もっとも、保険に加入していると無保険で病院に行くよりは医療費が割引になったりするのですが(治療費400ドルのところが「グループ割引」として300ドルの請求で済んだりする。これもいったいどういう値段のつけかたになってるのか謎だらけ)。

あと、年に1度の健康診断も一応保険に含まれているので無料ということになっている。しかし、診断に含まれているのは決まったルーティン検査だけなんで、ちょっと気になるから心電図もとっておきましょうか?とかいわれても、その分自費で1000ドルとかになるかもしれないと思うと、ほいほいお願いしようという気にもならない。(アメリカの医療は極端に分業が進んでいるため、心電図はこのクリニック、マンモグラフィはこのクリニック、とそれぞれ専門の医院に行くのです)

免責1000ドル以下というプランもあるにはあるのだけど、そうすると今度は月々の保険料が500ドル近くなってしまう。家族7人とかじゃなくて、ひとり分ですよ。年間で6000ドル!

そんなには払えないっす。今でも保険料として年間3000ドルくらいを払った上に、さらに2500ドルを病院に支払わなければ保険の恩恵は受けられないという、なんだかふんだり蹴ったりな気がするシステム。しかも歯科と眼科は入ってないので、ご希望の方は別途お支払いください、ということになっている。死にそうな病気をしてやっとお世話になるという、日本でいったら使うかどうかわからない高額医療保険みたいなニュアンスの保険制度だなあと思います。

アメリカでは、ソーシャルセキュリティ制度ができた1930年代の大恐慌のときにも、リンドン・ジョンソン大統領の掲げた「グレート・ソサエティ」の構想にもたしか国民健康保険を作る計画が含まれてたけどどちらも頓挫したと聞いた気がします。(うろ覚え)。
いずれにしても、アメリカ人の連邦政府不信って根が深い。ユニバーサルな健康保険、つまり日本にあるような国民健保をというのは民主党の悲願だったはずなんですが、「市場原則を導入して健康保険を手に入れやすく」というオバマケアではなんだかやっぱり保険会社と医療機関がトクをしてるだけみたいな気がしてきた、1年後。

激動の1930年代にも1960年代にも実現しなかったことを今後実現させようなんて、革命でもなければ難しいんでしょうね。

にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村