Why なぜ

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Google先生の検索窓に単語を入れると勝手に続きを親切に予測してくれるのが、時に妙な結果が集まってて楽しめることがある。
「なぜ」もおもしろい。

「Why」 と入力してみると出てくる検索予測は

Why do cats purr
Why do dogs eat grass
Why am i so tired
Why is the sky blue
Why do we yarn

なぜ猫はゴロゴロいうんだ
なぜ犬は草を食べるんだ
なぜわたしはこんなに疲れるんだ
なぜ空は青いんだ
なぜわたしたちはあくびするんだ

と、なんだか牧歌的ー。「みんなのうた」の歌の歌詞みたい。

ところが、日本語の「なぜ」で検索窓に入れてみると、

なぜなぜ分析
なぜ生きる
なぜベストを尽くさないのか
なぜ人を殺してはいけないのか
なぜなら英語

…と、まったく違った風景が広がるのだった。

日本の人びとに向かって、心の底から、お疲れさまです、と言いたくなる。

「なぜベストを尽くさないのか」はTVドラマのネタ本のタイトルだった。というところも、日本らしいといえば日本らしいと思う。

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Maroon マルーン

DSC_6257

Maroon て何色? と、かなり前から疑問だった。

『ランダムハウス英和大辞典』では「栗色、えび茶色」。
『リーダース英和辞典』では「栗色、えび茶、マルーン」。
『Oxford Dictionary of English 3rd Edition 』では「a brownish-red colour(茶色がかった赤色)」。
ウェブ版の『Collins』では「 a dark red to purplish-red colour(暗い赤から赤紫色にかけての色)」。

先日とあるファッション関連の記事を訳しててmaroonが出てきたのでまた疑問が再燃。

洋服の色を説明するのにmaroon を「えび茶」と訳してしまうとかなりイメージに差が出るように思って、結局「マルーン」とカタカナで訳した。
この記事で使われていた「マルーン」は、かなりワインレッドに近い色で、自分の持っていた「えび茶」のイメージと違ったからだったのだけど、調べてみると「えび茶」もまたかなり幅広い色なのだった。

日本語版Wikipedia では「マルーン(英: maroon)は、暗い茶色から、紫がかった赤にかけての色」とあり、英語版iには「is a dark brownish red color which takes its name from the French word marron, or chestnut」(暗い茶色がかった赤色で、フランス語の「栗」から来ている)とあって、ここでも意見が一致していない。
(マルーンが「マロン」から来てたって、知らなかった!)

で、Maroon で画像検索にかけてみると、こんな感じ。

英語の「Maroon 」で検索。
MAROON e
やっぱり、すごく幅がある。紫から赤茶色まで、これを同じ名前で呼んでも良いものか?と思うようなラインナップ。(Maroon 5 が入っちゃってるのは止むを得ませんね)。

日本語の「マルーン」MaroonJP乗り物系が多いようで、だいたい、一定してる。しかし、「あずき色」といったほうが良いような色に見える。

「えび茶色」で画像検索ebichaうーーん、これまた幅広い。

葡萄茶と書いて「えびちゃ」と読み、「海老茶」「蝦茶」とも書く。
『日本の色辞典』(紫紅社刊)によると、
「葡萄葛(えびかずら、または山葡萄)」の実が熟して赤紫色になったもので、その赤紫に茶を加えた色を葡萄茶とする。近代になって葡萄と蝦が混同され、伊勢海老の殻のような色を「海老茶」と呼ぶようになった。」
「この葡萄茶は明治注記から女学生や女教師の間に流行した袴の色で、彼女らを当時の人々は、平安の才女・紫式部にかけて「葡萄茶式部」とからかった。」
だそうです。なるほどー。もともと「ブドウ色」だったのに」海老が混同されたわけだ。

でもそれなら、英語のmaroon が栗の色(これは純然たる茶色ですよね)から紫までの色をさすようになったのはなぜなんだろう。

画像で拾ってみると、英語の「マルーン」も日本語の「えび茶」も、これはどう見ても茶色だろうというのから、藤色とか薄紫っていったほうがいいんじゃないの?と思う色まで、そのカラーバリエーションが同じような色味の幅になっているのが面白い。青味が入るかどうかでものすごく違う色になると思うんだけど、人の感覚というのは東西を問わず、赤っぽい暗い茶色から赤紫までを一括りにしてしまう傾向があるみたいだ。

で、「誰が見てもこれはmaroon」という中心値にあり、かつ「誰が見てもこれは葡萄茶」という中心値でもある色が、女学生の袴の色、であるようです。
100人の人に「マルーンて(もしくはえび茶って)どういう色?」とインタビューしてみたら、どのくらいばらつきがあるのだろう。
色の名前というのはデザイナーさんが使う「色見本」の番号のように細かく特定できるものだと思っていたのだけど、実は全然そうでもないようだ。

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Portmanteau かばん語

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先日、「ソークラ」について書きながら、日英の略語についてちょっと考えてみたあと、数週間たってから、2つ以上の言葉をくっつけて造られた言葉に「Portmanteau/かばん語」という名前がついているのを、初めて知った。言葉を扱う仕事に従事していながらとても恥ずかしいことに、今までこの言葉、知りませんでした。

「ポートマント-」という言葉はルイス・キャロルの造語。『鏡の国のアリス』でハンプティ・ダンプティがアリスにむかって「ジャバワッキー」という謎の詩の言葉を講釈する場面で出てくる。

“Well, ‘slithy’ means ‘lithe and slimy.’ ‘Lithe’ is same as ‘active’. You see it’s like a portmanteau – there are two meanings packed up into one word.”

「しなぬる(Slithy)というのはだな、『しなやか(lithe)』で『ぬるぬる(slimy)』だってことだ。『しなやか』ってのは『げんき』だってことだな。こいつは旅行かばん(Portmanteau)みたいなものなんだ。2つの意味が1つの言葉に入っているんだな」(拙訳)

と、ハンプティ・ダンプティはアリスに講釈する。
.
「Portmanteau」は、開けると中が2つの部分に分かれている旅行かばんだそうだ。
その旅行かばんのように「2つの意味が、1つの言葉に入っている」言葉。

英語版のWikiには、かばん語の例として「Gerrymandering」や「brunch」が紹介されている。

「starfish」のように、完全な形の単語をつなぎあわせたものは、複合語であって「かばん語」ではないという。複数の単語の一部ずつをつなぎあわせて、全く新しい概念を表すのがかばん語。

このWiki記事には英語のほか、アイスランド語、フランス語、ドイツ語、現代ヘブライ語、インドネシア語、などほかの言語の例も紹介されていて、日本語の例についても詳細な記述があった。

それによると、日本のかばん語で非常によく見られる形は「2つの語の最初の2音ずつを組み合わせた複合語で、和語、漢語、外来語のいずれかの組み合わせ」だという。
それぞれの例として「東大」(漢語)、「パソコン」(外来語)、「ポケモン」(外来語)、「カラオケ」(和語+外来語)が挙げられている。

でもちょっと待って。この例は正しくは「かばん語」ではなくて単なる略語じゃないの?

まず漢語の例として挙げられてる「東大」。これは「東京大学」というれっきとした固有名詞の単なる略で、「東京」と「大学」を合わせた何か新しい概念をあらわす言葉ではない。
「パソコン」は「パーソナルコンピュータ」の略であって、人間とコンピュータが合体したモノではない。
「ポケモン」も同様に既存の「ポケットモンスター」の単なる略。

「カラオケ」は、「空」と「オーケストラ」を合わせた言葉で、それまでになかった新しい概念をあらわしているので、かばん語だ。

日本語ではこういう「2つの単語から2文字ずつとって4文字」の略語がとても多い。
「ソークラ」の時にも挙げてみたが、イタカジ、イメクラ、サブカル、などなど、ほんとに異常なほど多い。

この4音節の略語というのは、四文字熟語などのユニットとならんで、日本語の中にひそみ、大事な役割を果たしている大きな骨なのではないかとすら思う。

4文字略語に外来語を取り込み「コンパクト化することで日本語との親和感が増して、言葉が表す概念も身近になありふれたものになる気がする」と「ソークラ」の項で書いたが、4文字化された言葉が伝播していく速度はたぶんもとの言葉よりも速いのだと思う。それに、略語化した言葉を使っているということは、その概念を「知ってるよー、もう咀嚼済みだよー」という宣言にもなる。

ところで、単なる略語ではないかばん語って何があるかな、と考えてみたけれど、4文字略語はじゃんじゃん出てくるのに比べて、かばん語はそれほどない。

「ジャパゆき」
「パチプロ」
「銀ブラ」

どれにも大正・昭和の香りが漂う。
うーんなんかもっと新しくて溌剌としたかばん語ってないものか。

(追記)

友人N嬢から「はぼき(はたき+ほうき)があるじゃないか!」とご指摘をいただきました。本当だ!
そういわれてみると、商品名にはかばん語が多い。

とくに、小林製薬は宝庫だった。
「熱さまシート」、「ナイシトール(おなかの脂肪が気になる方へ)」、「ナリピタン(耳鳴り改善薬)」、「ナイトミン(睡眠導入薬)」。
私のお気に入りは
「ムズメン(股間・内股などのかゆみ、かぶれに)」。これをかばん語と言ってよいのかどうか判断に苦しむところですが、ムズメン。いかがなものでしょうか。

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