Walkable town 歩行者にやさしい町

2014-0605-1

シアトルは全米で7番目にWalkable な都市なのだそうだ。

たぶん、「ある町がwalkableであるかどうか」という言い方は、アメリカの郊外や地方都市に行ったことがないと、ピンとこないのではないかと思う。アメリカの郊外住宅地や地方都市って、およそ人の住む場所の中でこれほどwalkable でない環境は地上に存在しないのではないかと思うほど、歩行者に優しくない、というか、歩行者を完全に無視した造り。アメリカの郊外住宅地は、「歩くこと」をまったく念頭に入れずに造られた町といっていいと思う。
WalkableというのはそんなUnwalkable な人工の環境のアンチとして最近良く目にする言葉。

最初にアメリカの町がいかにunwalkableなのかをつくづく思い知らされたのは、もう20年近く前になるが元旦那の実家であるルイジアナのシュリーヴポートという小都市に行ったときだった。子どもがまだ1歳とかそのくらいで、昼間暇だったのでベビーカーを押してその辺を散歩しようと思ったら、すぐ目の前の道路に歩道がない。
クルマなら5分もかからない距離に公園があるのに、そこまで歩いていくという発想は誰も持ってないらしかった。道路はやたら無駄に広くて、横断歩道とか歩道橋なんてものもついてないから、どこまで行っても渡れない。だいいち、道を歩いている人がいない。いるとすればヤク中とか昼間から酒の匂いがしてるような相当ヤバい感じの人だけ。この国では散歩というのは公園にクルマで行ってするものなのか、と衝撃を受けたのだった。

Walkableで検索すると「WALKSCORE」というページが見つかった。

都市名を入れるとその場所がどのくらいwalkableかというスコアが出てくる(公共交通機関がどのくらい使いやすいかのTransit score と、自転車道や自転車ラックなどが整備されてて自転車に乗りやすいかどうかのBikable scoreもある)。
シアトルはこのサイトでは全米8位に認定されてて、スコアは71点。シュリーヴポートは29点だった。
歩ける都市の1位はニューヨーク、2位はサンフランシスコ、3位はボストン。
このサイトでは、都市をwalkable にする要因として以下のポイントを挙げている。

  • メインストリートや公共スペースなどの 中心があること。
  • 商店や公共交通機関が発達できるだけの人口があること。
  • 多様な所得の層が住める、ほどほどの家賃の住宅があり、ビジネスと住宅が程良く入り混じっていること。
  • 公園や公共施設が充分にあること。
  • クルマよりも歩行者を優先したデザインであること。たとえば、ビルの前に駐車場がでーんとあるのでなく、入り口が道に面していて、駐車場は奥のほうにあるなど。
  • 学校やオフィスが町内にあり、住民の多くが歩いて学校や仕事に行けること
  • 道路が自転車、歩行者、公共交通のためにデザインされていること。

TEDには都市プランナーのJeff Speck氏の「 The walkable city」というレクチャーがある。Speck氏はアメリカの郊外を「史上最悪のアイデア」と表現している。そうして、クルマ用の道路に投資する代わりに70年代から自転車用のインフラと公共交通機関を充実させてきたオレゴンのポートランドをほめたたえている。

Walkableな都市には高学歴の若い人が住みたがるから土地の価値も上がるし、良いビジネスも集まってくる。Walkable な町はサステナブルであることと住みたいと思わせる魅力を持つことを兼ね備えている。Walkable な都市では人々が歩くから肥満率も少なく、通勤に時間やお金をかける代わりにほかのレクリエーションに回せるし、いいことずくめ、というのがSpeck氏の主張。都市であれば必ずwalkableであるとは限らず、設計によるのだ、とも言っている。

たしかに東京に帰省すると、アメリカで歩く距離の1年分を1週間で歩くってくらいによく歩くようになる。徒歩と公共交通機関で安全にほとんどの用が足せる町に住めるというのが恵まれたことだなんて考えてもみなかったけど、アメリカではごく一部の都市にしかない贅沢なのだ。

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